相続放棄をした方がよいでしょうか
相続、遺言、成年後見を中心に葛飾区、江戸川区地域密着で業務を行っている司法書士の古川です。
先日お客様からいただいたご相談についてです。
「他の相続人から相続放棄をするよう言われていますが、相続放棄をすべきでしょうか。」
「相続放棄をするとなると家庭裁判所での手続きが必要と聞いております。」
事情を詳しく聞いてみますと、ご相談いただいたお客様は亡くなった方の面倒をほとんど見ていなかったので、財産は受け継がず、相続放棄をしてほしいと言われており、ご自分でも相続放棄をしたいと思っているとのことでした。
このように負債を免れるためでなく、財産を受け継がないようにしたいだけの場合には、家庭裁判所に対して相続放棄をする方法の他に、財産を受け継がない旨の遺産分割協議をする方法もあります。
ただし、相続放棄であれば借金等の負債も受け継ぐことはなくなりますが、財産を受け継がない旨の遺産分割協議をした場合には、後に借金等の負債が見つかった場合、たとえ財産を一切受け継がない相続人であっても負債だけは受け継がなくてはなりません。
家庭裁判所の相続放棄であれば、今後他の相続人と関わる必要もなくなりますし、たとえ借金が見つかった場合でも、当該借金の責任を負うことはありませんが、家庭裁判所での手続きが必要であり、手間と費用がかかります。
財産を受け継がない旨の遺産分割協議を行う場合には、他の相続人が作成した遺産分割協議書に実印で捺印し、印鑑証明書を渡せば終わりですが、もし後に借金が見つかった場合には、たとえ財産を受け継がない場合でも、借金については返済する責任が生じてしまいます。
このように財産を受け継がないだけであれば相続放棄以外にも方法がありますので、状況に応じた方法をご選択いただくとよいかと思います。
お読みいただきありがとうございました。